【臨床考察】腹診について

腹診とは?

切診法のひとつで、身体の状態を把握する重要な診察法です。
患者を仰向けにし、リラックスした状態で行う事が基本ですが、症状によっては横向きや座った姿勢で行う事も稀にあります(一般的ではございませんので専門家の方からのツッコミはご容赦を)

腹部を触診し、寒熱や筋緊張/弛緩の状態を確認。
また、肌の乾燥具合や色、むくみなども重要な情報も集めていきます。
この時、全体的には暖かいのに一箇所だけ冷えている、特定の経穴のみ圧痛がある…など。
患者の主訴の裏に隠れている原因を探っていきます。

素問の陰陽応象大論

五行説の基となる理論です。
自然界の現象を5つの要素に分けて、整理・説明をする考え方をまとめています。
天体を大宇宙、人体を小宇宙として捉え、自然現象と生命現象を適応させています。

これを腹診に当てはめ、「脾」を中心(土用)」とし、その周囲を季節が巡るように、肝・心・肺・腎を巡らせて配置して、五臓のどの箇所に問題があるのか?を判断します。
(これは五行土王説にも通じるものがあると考えられます)
圧痛や熱感があれば実証、力がなく冷感があれば虚証として考え、治療を組み立てます。

難経第十六難

ここでは五行の各症状について、内証と外証について説明されています。
一般的に言う「難経腹診」はこの難経第十六難の内証を根拠に考えています。
「肝の内証は臍の左に動気を触れ、押さえると硬く痛む」と説明され、他の五臓も同じように…

・肝→臍の左
・心→臍の上
・脾→臍の中央
・肺→臍の右
・腎→臍の下

に動気を触れ、押さえると硬く痛むと説明されています。

 

臨床応用

腹診から得た情報を基に、気の運行を阻害している経絡の特定。

また虚実の反応を基に、経絡の補瀉を決定します。

また、即腹部を挟み込むように持ち、軽く揺らす事で身体の硬直状態を把握するのも施術前後の効果測定に有効的です。

腹診を基に決定した経穴に施術後、再度、腹部の状態を確認して効果測定を必ず行い、施術前後の体の変化を診ていきます。

腹診は漢方医学でも用いられる考え方ですが、鍼灸ではここから経絡の流れに発想を繋げるのが特徴的と言えます。

代田文誌氏も経絡の重要性を解いていますが、同時に「全ての経穴を切診すべきと言えど、その一々を診るのは現実的ではない」という趣旨の言葉を残しており、腹診の有効性を示すものだと考えられます。

個人的見解

正直、脈診より腹診をメインに使っています。
そう言う意味では自分のやり方は、キイコスタイルに近いものがあるかもしれません(実際、多少混じっています)
瘀血処置に関してはほとんど腹診で判断しており、この処置だけで体調の変化を実感する人もいます。(中封に鍼一本刺しただけなのに「あれ?お腹を押されても痛くない!」みたいな)

逆に、どんなに局所治療をしてもお腹の緊張が取れていないと、体調が改善しない…なんて事もやってみた事もあります(人体実験的なw)
あと、脈診だと「あれ?これってなんだろう…?」と思うものでも、お腹を触るとあっさりわかっちゃったり、患者自身も鍼を刺した効果を実感しやすい=説明しやすい…というのも大きいです。
判断材料は色々あるので腹診だけで全てを決める…と言う事もないですが、それでも主軸の診察法として活用しています。

お腹を触られるのに抵抗がある…という人もいますが、うちではなるべく腹診をして治療を組み立てられるようご協力をお願いしています。

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