ポリヴェーガル理論に関する考察

目次

1)ポリヴェーガル理論とは?

「ポリヴェーガル理論」とは、アメリカの神経生理学者「ステファン・W・ポージェス」氏が発表した理論で「多重迷走神経」と訳されています。

心や体の状態を、3つの自律神経系の働きから説明し、主にトラウマを体験した人への療法として注目を集めました。
著書の中では、不安障害、自閉症、PTSDなどにふれ、これらの現象を説明。
この他にも、精神医学、医学、教育、福祉などの広い分野に影響を与え、各分野での活躍が期待されています。

この理論は、神経系には交感神経系と2つの副交感神経系を示し、ストレスや安全に対する生理的・行動的反応を調節していると説明しています。
主になる理論として、迷走神経によって制御される副交感神経は、社会的行動や感情の調節に重要な役割を果たしている…とし、防衛行動に関連する「古い」迷走神経系と、社会的関与や安全に関連する「新しい」迷走神経系という二つのシステムに分けられるとされています。

2)自律神経の3つの構成要素と東洋医学との共通項

ポリヴェーガル理論では、3つの自律神経系の働きから説明しています。

・交感神経系…闘争・逃走反応を司り、危険やストレスに素早く対応できるようにする。

・背側迷走神経…腹腔内の消化管などの内臓の働きを制御しており、一部は横隔膜や胸腔内の心臓や気管支にも分布する。交感神経系に反する「フリーズ」状態になる神経でもある。

・腹側迷走神経…情報伝達に関与し、特にコミュニケーションに関わる働きをしている。 ポリヴェーガル理論では『社会的な反応』に関与する神経として注目している。

東洋医学では、これら神経系の一連の働きを「気」として捉え、健康を維持する役割を担っていると考えています。
自律神経の働きを全身の健康と幸福に不可欠な部分と捉える点では、共通する考えが多いと言えるでしょう。

3)自律神経を整える東洋医学の知恵と技法

ポリヴェーガル理論を実践応用するにあたり「マインドフルネス」が注目されています。
両者には【身体のストレス反応の調節や、自分の内的状態に注意を払うことの重要性に着目している点】で共通する点があります。

瞑想などのマインドフルネスの実践は、交感神経と副交感神経のバランスを保ち、ストレスや不安の症状を軽減するのに役立つと言われています。
また、瞑想を通して呼吸を整えたり、集中力を向上させる効果があることから、ポリヴェーガル理論の実践応用に適していると言えるでしょう。

また、東洋医学では、鍼灸、漢方、食事療法などさまざまな手法で、気のバランス(自律神経のバランス)を整え、治癒を促します。
特に鍼灸は、自律神経とつながっているとされるツボを刺激することで効果を発揮すると考えられています。

個人的にはタイ古式マッサージなども、ヨガや瞑想などに似た効果があることから、ポリヴェーガル理論を応用できる…と考えています。(宗教的な瞑想なども近いものがあるかもしれません)

4)ポリヴェーガル理論とメンタルヘルスの関係

ポリヴェーガル理論に則り、3つの神経系を整えることで、身心の状態を最適化することに期待ができます。
PTSDや不安障害、うつ病などの精神疾患を持つ人にも、症状を寛解させる可能性だけでなく、一般の人にも生産性を向上や、職場環境の改善、生活の質を向上させる事などが期待できます。

この3つの神経を整える事は、メンタルヘルスの維持/改善にも大きく貢献します。
深呼吸やマインドフルネス、東洋医学の手法を通じて、交感神経系の過剰な興奮を抑え、迷走神経緊張を高めることで、個人が感情のコントロールを改善できる可能性が示唆されています。

ただし、ポリヴェーガル理論はまだ研究途上であり、この理論のメカニズムや実践、応用をしていくには、より多くの研究が必要であることに留意する必要があります。
また、気の概念や自律神経との関係性については、科学的な証明や、現代医学に基づく説明は困難であるため、こちらも引き続き研究を勧めていく必要があります。

 

5)根拠の無いな個人的な仮説

腹側迷走神経も脳腸相関に関連があるとしたら「腸内環境の悪化が、コミュニケーション能力の低下に影響する」とかもあったりして…?(雑な表現ですが^ ^;)

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